「私……先輩には、音大に行ってほしいです」
夢を諦めてほしくない。
お姉ちゃんのためにも、信じて実現してほしい。
お姉ちゃんが叶えられなかった夢を叶える先輩の姿を見てみたい。
「は?
だから俺はもう……」
「先輩!
夢を諦めないでください!
今を……現実を受け入れて……前を向いてくださいっ……!」
私にこんなことを言う権利はない。
こんなの私の願望でしかないし、何を選ぶかは先輩の自由だ。
そんなの承知の上で言っている。
私だって、お姉ちゃんがいないこの現実を正面から受け入れることなんてできていない。
でも、先輩と出会えて……確かに変わることができた。