『とうっ!』

哀歌は
後ろから飛びかかってくる気配を感じ
とっさに避け

「こら。」

軽く相手の頭を叩いた

『あたっ、...もう。』

「もうはこっちのセリフ。
いきなり飛びつくのやめなさい
っていつも言ってるでしょ。」

『ちぇ。』

「拗ねないの。
...ふふふっ。鈴風、おはよう」

『おっはようー!』

満面の笑みで挨拶を返す鈴風

毎朝の恒例行事だ。
高校生になってからも続くとは。

挨拶がわりに毎度毎度飛びかかってくる鈴風
小さい頃はまだ良かったが、
もうだいぶ大きくなったし、
人目も気になるので
最近は寸止めするのがおきまりだ。

哀歌と鈴風は保育園の頃からの友達
いわゆる幼馴染。

家は歩いて10分~15分くらいだろうか
そのくらいに位置しているので、保育園から学校も全て同じだ。

哀歌たちのこれから通う高校は、
普通科と芸術科の二つの学科を持つ高校で
大学進学を考えている哀歌は普通科
趣味は音楽の先生に憧れる鈴風は芸術科だ。

芸術科には音楽・美術・その他の3つがあり、もちろん鈴風は音楽を選択している。

こんなわけで、学科は違えども高校も同じになった。

『哀歌制服似合ってるね!!すごく可愛い!』

「ありがとう。鈴風もね。」

『へへへっ、ありがとう!』

新しい通学路を今までと同じように一緒に歩く

新しいと今まで通りとが混ざった、変な感じがした