かろうじて残った桜の花も、
先を争うようにして
ゆらゆらと風に乗って地面に落ちていく。

成長している時間に比べれば、
立派な花となっている時間は短い。

(はかないなぁ。)

足元に落ちた花びらを眺め
ため息をつく。

(でも、はかないからこそ美しいって言うわよね……

美しく…なれるのかしら。)

ねぇ?と大方散ってしまった桜の木を見上げる。

(進まなきゃ。)

哀歌はパンパンッと頬を叩き、
また歩き出した。

少し切ないが
やはり春の風は気持ちがいい。

そんなことを考えながら歩いていくと
突然、

『哀歌ぁぁぁぁぁーーー!!』

後ろから私を呼ぶ声がした。