「あれ、那月ちゃんと亜子ちゃんは?」


家に着くなり聞かないでほしいところを鋭く突っ込んでくるママ。


「あぁー…準備してから来るんだって!」


「そう。ちゃんと飛鳥くんにも連絡したのよね?楽しみね〜」


苦笑いで頷いている私の今の顔はきっと引きつってるに違いない。


先輩の家に泊まって、さっきまで一緒にいた…なんて言えるわけがないもの。


気がつかれないうちに早々と自分の部屋へ戻り支度を終えて外で準備をしていると、那月と亜子がやって来た。


「ようこそ〜!二人とも座って座って!」


初対面のママと意気投合したのか、楽しく話している隙を狙って二人に話しかける。


「ごめんね、急に連絡して…」


「全然っ!暇だったし丁度よかったよ。ねっ?」


「うんうん!吹季の家初めてだもんね」


心強い二人にホッと安心していると中から出てきたお兄ちゃんを見るなり、那月が全力で肩を叩いてくる。


「この人が吹季のお兄さん…!?」