「じゃあ…そろそろ帰りますかっ」


ベンチから立ち上がり、どの方向から帰ろうか周りを見渡していると


「今日は友達の家に泊まるんでしょ」


ゆっくりと立ち上がりながら先輩が呟いた。


「…そ、そうだった!泊まるって言ったんだった」


ポケットから取り出した携帯の画面を確認すると、深夜二時を回っていた。


さすがにこの時間から亜子に泊まりに行っていい?なんて言えるはずがない。

だからと言って、この時間から家に帰ったらママたちに何を言われるか…


気持ちだけが焦り出し、頭が真っ白になっていく私を隣で見ていた先輩が


「うち、来る?」


思いがけない言葉を発した。


「いや、大丈夫です…!漫画喫茶とかたくさんありますからっ!朝まで時間つぶしときます」


「夜中に女の子が一人で漫画喫茶?また変な奴に絡まれたいの?…行かすわけないじゃん」


また手首を掴まれると、そのまま歩き出す。