「…ってわけ。給料が高いからやってんの」


年齢を20と言ってウエイターやキャッチという客引きの仕事をやっているという先輩。


夜のバイトをしていたから毎日学校のあの部屋で寝ていたんだ…


" 危ないお店だから " と那月が電話で言っていたのは、知っていながらわざと大げさに伝えたんだと気がついた。


あの日から先輩と気まずいまま会えずにいたことを気にしてか、那月の小さな気遣いが嬉しくなる。


お店の件は無事何もなかったし、安心した…けど


「あの…やっぱりこの仕事は辞めた方がいいと思います。響子さんが知ったら心配すると思うし、私も心配です…」


足元を見つめ黙り込む先輩。


「響子さんが言ってました、生活費入れてるのに使ってないって。私が言える立場じゃないですけど…全部自分でやろうとしないで、少しは甘えてもいいと思います。だってまだ高校生じゃないですかっ」


先輩の気持ちを聞いたわけじゃない。

でもどこか似ている部分があって、自分を見ているようだった。


その気持ちわかります。
そう言いたかったのかもしれない。