「ほんっとにバカなの!?夜遅くに一人であんなとこウロウロしてさ。なに、それともああいう仕事に興味があんの?」
「えっ…いや、その…ごめんなさい…」
普段からクールな先輩が初めて怒った瞬間だった。
確かに夜中に一人で来たことは謝るけど…
「わ、私だって!先輩を助けに来たんですよ!那月から電話で聞いたとき、私がどれだけ心配したか…!!」
驚いた表情の先輩に、少し言いすぎたと口に手を当てて目をそらす。
「別に心配されるようなことしてないけど」
「あのお店って裏では、あんなことやこんなこと怪しい営業してるんですよね?最近ニュースでよく見かけるし…今すぐ辞めてください!」
先輩のためを思って真面目に説得していたつもりが、必死な表情の私を見るなり先輩はフッと笑った。
「何がおかしいんですか…?」
「いや、勘違いしてるようだけどあの店は飲み屋だから。ただのキャバクラ」
ただのキャバクラ…
先輩のその一言が私の思考を止め、頭の中でぐるぐると情報が飛び交う。
だが理解するのにそう時間はかからなかった。