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 クリスは一先ず、執事頭に部屋を案内されていた。
 
 今はこのただ事ではない事態に、城全体が暗く澱んでいるように見受けられるが、歴史ある城で、そして王の住まう王宮と比べても大差ない大きさに敷地面積だ。
 
 この城に相応しき荘園を数多く所有し、一時期は国家予算を越える資産を持ち、戦の出資金をも王に貸し付けていたほどだ。
 
 この財は、ソニアの祖父の代で大きく膨らみを見せた。

 
 ――そこからだ、クレア家がおかしくなってきたのは。