そこまで黙って話を聞いていたソニアが口を開いた。

「さっき、マチューが『更に』と言っていたけど……。今まで話してくれた現象は、以前からあったものなの?」
 
 マチューは自分の失言に気付き、さっと顔を青くした。

「以前と言うのは何時くらいから?」
 
 畳み掛けてくるソニアに、マチューは観念したように
「申し訳ありません。この事はソニア様の父君である亡きクレア公の厳命で、ソニア様には気付かれぬようにと、きつくお達しがあったのです……」
と、俯きながら白状した。

「これは公爵様が、小さかったソニア様が怖がることがないようにという親心でございます!」
 
 侍女頭がマチューを庇うように告白した。