4月――。
「ゆづ! こっち、こっち!」
玄関口で靴を履き替え、校舎へ上がってすぐ。
同じ制服を来た人達の人集りの中、一生懸命私に手を振るのは、天崎(あまさき)ありさ。
「おはよう」
「おはようっ!ね、また一緒のクラスだよ!」
挨拶をした私の手を取って、ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねるありさ。
肩より少し長いふわふわの髪が揺れる。
「本当?」
「うん、2組っ!」
大きく頷いた姿に人集りの方を見れば、みんなの視線の先には移動式のホワイトボード。
張り出されたいくつかの紙の上に、『2年 クラス表』という文字が見えた。
「そっか、良かった……」
私は小さく声を漏らす。
ありさとは1年のとき、同じクラスで。
それからものすごく仲良くなった。
だから、また一緒というのはとても嬉しい。
「これからもよろしくね!」
「こちらこそ」
改まって挨拶をして、ふふっとお互いに笑い合う。