「蒼空……」


ありさが口を開くと、彼の周りの女子達から動揺する声が溢れる。

でも、そんなの関係なしに、


「同じクラスだったんだ?」

「うん……よろしくね」


普通に話しかけてくる彼に、ありさは躊躇いがちに頷いた。


「え……なに、どういう関係?」

たまらず会話に割って入ってきたのは、取り巻きのうちのひとり。


そっか……。

1年のとき、ふたりは違うクラスだったから、知らない人は結構いるんだっけ。


ありさと篁くんは……。


「ただの幼なじみだよ」


さらりと答えたのは、彼の方。


「幼なじみ……?」

「そ、ガキん頃からの腐れ縁」


「な」と同意を求められ、困ったような笑顔を浮かべたまま、こくんと頷くありさ。


周りのみんな、驚いたように目を丸くしているけど、私もはじめて聞いたときはびっくりした。

まさかふたりが幼なじみだなんて。