――ふざけんな。
この手の男が一番嫌い。
調子に乗って、人の気持ちを考えられない、こういう男が。
周りの女子達もどうして。
よりによって、こんなのがいいんだろう。
「……バッカみたい。行こ」
聞いててもイライラするだけ。
私はギュッと握りしめた拳を解き、ありさの手を取って黒板へと歩き出した。
まだ何も書かれていない、綺麗な黒板。
その真ん中に貼ってあるのは、このクラスの出席番号。
最初の席は、窓際からこの出席番号順に座るのが、暗黙のルール。
だから黒板の前には数人、自分の席を確認しに来た人達がいた。
「……あ、ありさ1番じゃん」
「うん……」
特に驚く様子もなく、頷くありさ。
そっか。さっきクラス表を見ていたから、それで知っていたんだ。
じゃあ、私は……。
上から順に名前を目で追って、見つける。
――あった。
高宮 結月(たかみや ゆづき)。
ホッと息を吐いた次の瞬間。
私は自分の次に書かれていた名前に、ピシッと固まった。