雨が降る。静かに雫を落とすこの音が好きだ。
四時間目、少し暗い廊下を歩きながらあの教室へと向かう。少し鼓動が早くなる。
彼女はあのクラスにいる。週三回の楽しみ、科学の授業。あの時間さえあれば憂鬱だって何だって、吹き飛ばせる。そんな気がした。
立て付けの悪いドアを開け、教壇に立つ。しっかりと背筋を伸ばして、それなりの声量で。科学の授業を始める。