「わぁ……埃まみれだね。はい、どうぞ」
優しい笑顔の彼の顔を見て、私は少し言葉がもたついた。
 「あ、ありがとうございます……」
 本を棚にそっと戻し、電気を消して廊下に出る。夕日がとても眩しかった。鍵をかけ、職員室に行こうとすると「いいよ、いいよ」といって先生は鍵を持ってくれた。
 「じゃあ、明日もまた。さようなら」
 「うん、さようなら」

私は職員室に戻る彼を無意識に見つめていた。