「ねぇ、隣のクラスの門脇くん、かっこよくない?私好きになったかも……あ、沙理は好きな人とかいないの?」
好きな人……?そんな人いた事も無かったし、異性には興味がなかった。
 「私?いないよー。未麻ならわかるでしょ?」
 「確かに……言われてみれば。でも、うちのクラスの高崎、沙理のこと好きらしいよ?」
 「えー?高崎くんが?ないない、私なんか……」
そう、私なんか。ずっと本を読んでいるだけだし、勉強も出来るわけでもない。何となく高校にいるだけで、夢もない。
そんな私に声をかけたのはあの人だけだった。