出された料理はやっぱり美味しかった。

だが、明らかに量がおかしかった。

普通なら綺麗に盛られている料理が、これでもかと言わんばかりに積み上げられていた。

ステーキに至っては、ギャグかと思うようなトーテムポールが出てきた。

そんな料理を、お腹いっぱい食べる。

食べながら、遥希を見てきゅんとして。

幸せを感じていた。





「そういえば遥希、蒼との練習は順調か?」




あたしたちを気にしているのか、頻繁に姿を現わす藤井さんが遥希に聞く。




「順調じゃねぇよ。

俺は死にそうだ」




遥希は吐き捨てる。

そしてその手をあたしに差し出した。

男らしくごつごつした遥希の手は、所々切れたりガサガサになったりしている。

きっと、すごく練習しているんだ。