「ハハッ。そうだね。…時間大丈夫?遅刻するよね?急がないと」
言われて気づく。
私、遅刻ギリギリのところだったんだ!
やばい〜。
「大丈夫じゃなかった。急がなきゃ」
「じゃあ、また」
君は?君も遅刻しちゃうんじゃないの?
「君は?急がなくていいの?」
「俺はいいのいいの。ほら、早く」
爽やかな顔してる彼はどこか大人っぽくて時間なんてどうでもいいやって思った。
「…待って名前教えてくれる?」
「若葉ラン」
わかば…らん。
若葉ランくん。素敵な名前。
「わた…」
私の名前は七瀬里衣。
それを言う前に彼は私の体をくるっと回して背中を押した。
「本当に遅れちゃうってば」
さよなら。若葉ランくん。