一通り吐き出して落ち着きを取り戻したスズランだが、今度は激高するソニャの声に肩を竦めた。

「そうよ! 何よ少しイケメンだからって! 純真(ピュア)初心(ウブ)なスズになんて事してくれるのさ!! その癖、歳下は好みじゃあ無いだとぉ!? 奥手かと思いきやなんて奴だ! 次に来たらアイツのタコス、ピクルスだらけにしてやるんだから!! で、どこにキスされたの?」

 口づけされたとは話したが唇に、とは言っていなかった。話だけでソニャがこんなにも激怒するとは思っていなかった為、今更正直に唇にとは言えない雰囲気だ。

「え、えっと。ほっぺたに…」

「ああ、良かった! いくらなんでもね。てゆーかセィシェルの奴もじゃん! 何よアイツら。告る勇気もない癖に中途半端な事してさ! まあ、ほっぺにチューなら〝親愛の印〟くらいに思っとけば良いよ。ただの挨拶! だからスズもあんまり気にしたらダメだぞ?」

「う、うん」

「いーい? 唇は本当に好きな人の為に取っておくもんなんだからね!」

「わかった…」

 ソニャの話を聞きながらスズランはライアとの口づけを思い出していた。
 自分よりも大きな口に噛みつかれる様な感覚。唇を吸われて、口内を舌でさぐられて……。