焦がし砂糖を垂らした様な不思議な色の髪に、澄み切った瑠璃色(るりいろ)の瞳。あの瞳に見つめられるとどうしても逸らす事が出来ない。

「一体どういうつもりなの? わたしの事、嫌いなのに…、なんで…」

 後ろから追いついてきたセィシェルが申し訳なさそうに顔を覗き込んできた。

「おいスズ……その、さっきはごめん…。あの野郎に何された? 俺ついカッとなったってか…」

「……ごめん。少し、一人にして」

 涙を見られなくなくてセィシェルから顔を逸らす。すると意外にも覇気の無い声が帰ってきた。

「分かった。じゃあ少し休んどけよ」

 スズランを控え室に押し込むとセィシェルは厨房へと戻っていった。入れ替わる様にソニャが駆け込んで来る。

「スズ!? アンタどうしたのその顔! セィシェルになんかされた?」

「ソニャちゃん……」

 心配そうにする顔を見るなり更に涙が止まらなくなり早々にソニャを困らせてしまう。スズランは今しがた起きたことを辿々しくだが話し始めた。

「はああああ!? 何それ信じられない!」

「も、もう落ち着いたからわたしならへいき…」

「平気じゃあないでしょー!! もっと怒っても良いくらいなのに」

「そ、そうなの?」