またいつもの不機嫌そうな顰め面のセィシェルに戻ってしまい、スズランは少し残念そうに頬を膨らませた。

「むう…」

「何だよ」

「無理しないでねって言ったのに」

「仕方ねーだろ! 変な野郎が俺に勝ったらお前に……いや。とにかく勝負を挑まれたら受けるのが男だろ? 絶っっ対負けねぇけどな」

「よくわからないけど、そんなにたくさんお酒飲んだら心配なんだからね! ……えっと、マスターは?」

「あー、親父も何か昔の知り合いに遅くまで付き合わされてたみたいだけど多分平気なんじゃあねえ? でも昼過ぎまで起きないと思うぜ」

「わかった。起こさないようにする」

「おう。じゃあ俺も今から寝…」

「だめ。服脱いで!」

「はああ?? なな何言って…」

 何故か急に焦り出すセィシェル。

「だって仕事服のままで寝るの? 今からお洗濯しちゃうから脱いで。お酒くさいからついでにお風呂も入ってね!」

「あ、ああ。そう言う事か……びびる言い方すんなよな、ったく。自分も寝巻きのくせに…」

 ぶつぶつ文句を言いながら浴室に入っていくセィシェル。スズランは脱衣場に着替えを置くとセィシェルが脱ぎ捨てた仕事着を拾い上げて洗濯を始めた。