「苦しい事とか、悲しい事とか、ひとりぼっちで怖くてさみしくて不安な事……もちろん全てを理解するなんて出来ない。けどわたしにもほんの少しなら、わかるから。……なのにわたし、あの時どうする事も出来なくて、、」

　己のせいではないと言うのに、眉を下げて後悔を語る彼女の肩を優しく抱き寄せる。

「スズラン…」

「わたし、ハリさんの想いが流れ込んでくるのを何も出来ずにただ困惑する事しか出来なかった。だから心配なの！　だってあんなに大きな暗闇の中にひとりでいたら……真っ暗な場所で、本当にだれもいない怖い夢の中で……ひとりで、、なにもかも諦めてしまったら…」

　歯痒そうに気持ちを打ち明けるスズラン。今すぐにでもその不安な感情を消し去ってしまいたい。

「そうはならない…。俺がさせないよ」

「……助けて、ライア」

　ラインアーサの胸に凭れかかるスズランの身体は本当に華奢で、その肩は僅かに震えていた。

「俺も〝あの日〟からずっと捜してたんだ。ハリの所在を。漸く見当がついたよ」

「よかった」

　心配そうに、だが慈しむ様に腹部を撫でるスズラン。その手の上に自身の掌を重ねると、あたたかな気持ちが湧き水の様に溢れてくる。