「ライア…」

「格好悪くて自分本位だし、これじゃあスズランに信用されないのも当たり前か。今も、こうして腕の中に閉じ込めておかないと不安なんだ」

「わたしも……わたしの方こそ不安だよ…。だって。だって…、ライアの隣に相応しい人は沢山いて…っわたしは何もできなかったから……だから逃げたの…っ! だけど本当はわたしもライアの傍にいたい…、もうはなれたくない…」

 当時のスズランに足りなかったのは覚悟だ。しかしもう絶対に逃げない。そうライアの瞳を見つめて誓う。

「いいのか? 悪いけど、一生放してあげられない。もう一度逃げるなら今が最後の機会だけど?」

「うぅ。ライアの意地悪…」

 意地悪を言ったかと思えば満足そうに顔を綻ばせ、誰もが好きになりそうな笑顔と甘い声で囁くライア。

「スズラン、会いたかったよ」

「わたしもずっと…、会いたかった」

「もう絶対に逃がさないから覚悟して」

 小さなベッドの上、ゆっくりと重なる唇。
 
「……ん…」

「スズラン……もっと唇、ひらいて…」

「っ…らい、ぁ」

 熱い体温。甘い唇。互いの熱を交換する。
 こうして傍に戻る事を許されるのならば、もう二度と自ら手放したりはしない。