(……ああ…、大好きな匂いだ…)
晴れ渡る空とお日様と風の匂い。
大好きなライアの匂い。
眩しさに目が慣れてくると見慣れた天井が見えてきた。酒場の自室だ。相変わらず二人で使うには窮屈なベッドの上、大きな身体にかき抱かれる。ところがライアは肩で大きく息をして、耐えるようにぐっと唇を噛みしめていた。
「泣いてる、の…?」
「っ…ごめん…、止まらなくて…っ……」
力のこもった腕。瞬きをする度にこぼれ落ちる涙。ライアは堰を切った様に身体を震わせた。これ程までに愛する人を悲しませてしまったのだと自省の念が強まる。
「涙が、とまる……おまじない…」
自然とそう口にしていた。
腕の中で身動ぎながら見上げる様にライアの瞳を見つめる。吸い込まれそうな程透き通った青。涙に濡れる瑠璃色の宝石に魅せられながらも、スズランはそのまま瞼へとゆっくり唇を寄せた──。
「ん……ありがとう」
涙を指で弾いて少し照れくさそうに微笑むライア。互いの温もりを確かめながら狭いベッドの上できつく抱き合う。だがふと我に返った。
「んんっ…ライア…! まって…っ」
「スズラン?」
「あの、ね。その……わたし、どのくらいの間こうして…」
晴れ渡る空とお日様と風の匂い。
大好きなライアの匂い。
眩しさに目が慣れてくると見慣れた天井が見えてきた。酒場の自室だ。相変わらず二人で使うには窮屈なベッドの上、大きな身体にかき抱かれる。ところがライアは肩で大きく息をして、耐えるようにぐっと唇を噛みしめていた。
「泣いてる、の…?」
「っ…ごめん…、止まらなくて…っ……」
力のこもった腕。瞬きをする度にこぼれ落ちる涙。ライアは堰を切った様に身体を震わせた。これ程までに愛する人を悲しませてしまったのだと自省の念が強まる。
「涙が、とまる……おまじない…」
自然とそう口にしていた。
腕の中で身動ぎながら見上げる様にライアの瞳を見つめる。吸い込まれそうな程透き通った青。涙に濡れる瑠璃色の宝石に魅せられながらも、スズランはそのまま瞼へとゆっくり唇を寄せた──。
「ん……ありがとう」
涙を指で弾いて少し照れくさそうに微笑むライア。互いの温もりを確かめながら狭いベッドの上できつく抱き合う。だがふと我に返った。
「んんっ…ライア…! まって…っ」
「スズラン?」
「あの、ね。その……わたし、どのくらいの間こうして…」