「…っごめんなさい。わたし、変に意地を張って……こんな風に此処に逃げても何も解決しないのに。またこうやって迷惑をかけて本当にごめんなさい。……この先、あなたの隣に並べなくても、あなたにふさわしくなくても、わたしはずっと…っんん!?」

 後ろめたさと己を戒める気持ちがせめぎ合い早口で言い募るも、掌で唇を塞がれる。そのまま真っ直ぐに見つめてくるライアの瞳には僅かにだが怒気さえ感じられた。

「スズラン。少し黙ろうか? 誰にそう言われたか知らないけどさっきも言った。俺が心から愛してるのはスズラン。君だけだ」

「……!」

「君を一人にして不安にさせた事は本当に悪かった。だけどもっと自分を大切にして欲しかったんだ! あのまま一緒に居たら絶対そうするって分かってた、、だから細心の注意を払っていたつもりだったけど君は結局、俺を救う為に……能力(ちから)を使って…っ」

 声を詰まらせて俯くライア。下がる額髪の奥には泪が潜んでいた。見たことの無いライアの面様に戸惑う。それは湧き水の様に溢れては零れ落ちた。止まらない大粒の雫に胸を突かれる。

「……ライア…っ」

「っ…、格好悪いから見ないで…。それに俺こそスズランに謝らないと」