きらきらと葉の隙間から光を零しては煌めく木漏れ日。
瞼を閉じていてもはっきりわかる程眩しい金色のそれをやり過ごす。
それでも頬を撫ぜる様に吹く優しい風にふと睫毛を震わせた。
「ごめん起こした?」
「……ん…」
少し低めで耳に心地の良い声が鼓膜を擽る。重い瞼を持ち上げるとぼやける視界に人影が映り込む。
誰もが好きになりそうな甘い笑顔を浮かべた人物がスズランの顔を覗き込んだ。
────夢だろうか?
まだ頭にふんわりと霞がかかっていてなかなか夢と現実の区別を付ける事が出来ずにいた。
「ここに居ると思ったんだ」
「……?」
言われて見れば此処に来てからはどうしてかついこの場所に来てしまう。
スズランは小さく欠伸をすると涙で滲む瞳を擦った。
「いいよ、そのままで。俺も一緒に一休みしたい」
声の主はスズランの隣に腰を下ろし「おいで」と甘く囁いた。
「あっ…!?」
急に肩を引き寄せられ均衡を崩すと視界が九十度傾く。スズランの頭が着地したのは思いのほか柔らかく暖かい場所だった。
くらくらとする頭で、いたずらが成功した時の様に微笑むその瑠璃色の瞳を見つめ返す。