その理由は蕩ける様に甘く、極上の笑顔を浮かべたライアに抱き締められて心臓がこれでもかと鼓動を掻き鳴らしたからで……。
そこからは夢見心地であまり覚えていない。国王陛下とコルトがその場を取り仕切ったのだろう。いつの間にか、この宵晩餐会に集まった令嬢の中から『王子の婚約者が決定した』と正式に公表される運びとなっていた。
かなり強引な事の流れにおいて、本当に己の存在が役に立てたのか疑問ではあるがスズランにとって一生忘れる事の出来ない夢の様な一日となったのは確かだった───。
さあ、次はどんな〝夢〟だろうか。
思い出はどれも宝石の様に色を放つ。
色鮮やかで一つ一つが大切な宝物だ。
どの日も。他愛のない日常でさえも、こうして並べれば何にも代えがたい。
「───おい、いい加減にしろって。今日で一体何日目だよ。王子ってそんなに暇なのか?!」
「ご心配なく。ちゃんとマスターの許しを得てる。それに自分の仕事も終わらせてから来てるからな」
「ちっ。誰が心配するかっての。いい加減しつこいんだよ」
暇かと問われた王子はもうここ何日も、酒場に足を運んで来ては開店前の雑用などをこなしていた。
そこからは夢見心地であまり覚えていない。国王陛下とコルトがその場を取り仕切ったのだろう。いつの間にか、この宵晩餐会に集まった令嬢の中から『王子の婚約者が決定した』と正式に公表される運びとなっていた。
かなり強引な事の流れにおいて、本当に己の存在が役に立てたのか疑問ではあるがスズランにとって一生忘れる事の出来ない夢の様な一日となったのは確かだった───。
さあ、次はどんな〝夢〟だろうか。
思い出はどれも宝石の様に色を放つ。
色鮮やかで一つ一つが大切な宝物だ。
どの日も。他愛のない日常でさえも、こうして並べれば何にも代えがたい。
「───おい、いい加減にしろって。今日で一体何日目だよ。王子ってそんなに暇なのか?!」
「ご心配なく。ちゃんとマスターの許しを得てる。それに自分の仕事も終わらせてから来てるからな」
「ちっ。誰が心配するかっての。いい加減しつこいんだよ」
暇かと問われた王子はもうここ何日も、酒場に足を運んで来ては開店前の雑用などをこなしていた。