それは全て溢れ出したリーナの想いだった。どれをとっても、彼女がライアを心から慕っているからこそだ。
 今しがたリーナが飛び出して行った扉からコルトが顔を見せた。

「今リーナが廊下を駆けて行きましたが…って大変です! 予定よりも早く晩餐会(バンケーテ)が始まってしまいました!! 既に御令嬢各々が広間にて自己紹介を始めている様で…!」

「ええ?!」

「どうやら殿下が早く始めてしまいたいとの事で早めに。スズラン様、我々も今すぐ広間に向かいましょう!」

「っ……」

 心を決めてここに来た。ライアの為に出来る事。今の自分にしか出来ない事───。

「兄さん、スズラン様はまだ…」

「しかし…」

「でも私には無理強いなんて出来ないわ」

 スズランは大きく息を吸い込んで唇をきゅっと引き締めた。

「いえっ…平気です。行きます…! わたしでは何も力になれないかも知れません。それでも、ほんの少しでもお役に立てるように頑張ります!」

「有難う御座います、スズラン様!」

 コルトとサリベルが声を合わせ歓喜をあらわにする。それ程ライアがこの王宮に仕える人々から慕われているのだとわかる。
 スズランとて気持ちは同じだった。