大丈夫…、なのだろうか。それに公の場で失礼な振る舞いをしてしまったらと思うと今更ながら足が竦む。自分には荷が重いのでは無いかと。

「……では…、スズラン様は行かないおつもりですか? アーサ様は貴女の為にお一人で立ち向かう覚悟を決めたのに! それに……アーサ様のこと、ライアだなんて気安く呼ばないでください!! あたしだったら絶対に助けるわ……あたしが貴女だったら良かったのに…っ」

「っ!!」

 リーナの言葉が心の奥に深く突き刺さった。
 小さく「失礼します」と言い、リーナは部屋から飛び出して行った。

「あっ、こらリーナ!」

「……ごめんなさいサリベルさん…。わ、わたしリーナさんを怒らせて…」
(どうしよう。わたし、なんにも考えてなかった……っわたしだって覚悟を決めてここへ来たはずなのに…)

 声が震える。どうしてか泣きそうになった。

「不躾な娘で申し訳ございません。……あの子は幼い頃から殿下に憧れていて、、赤ん坊の頃に命を救っていただいたので尚更…」

「そうなんですか…」

 スズランの知らないライアの一面が見え隠れする。やはり気の所為ではなかった。初めに向けられた視線も、先程聞き取れなかった言葉も。