「当然とても悪い印象が付いてしまいます。ですから陛下も私達も全力でお止めしましたが、殿下は一度決めた事はなかなかに譲らない頑固な所がおありで…」

 そうだ。ライアは一度決めるとその目的に到達するまで努力を惜しまない。たとえ其れが自身を犠牲にすると分かっていても。だからと言って一度に令嬢を集め、見合いの辞退を宣言するなど流石に無茶な行動ではないだろうか。

「どうしてそんな…」

「どうしてって、そんなのスズラン様の為に決まっているじゃあないですか! アーサ様はそれ程貴女の事を想われて…」

「リーナさん…!」

 リーナが突然声を荒らげた。

「リーナ! 大変失礼致しました。スズラン様、当日に突然お招きして更にこんな事を頼むのは虫のいい話かもしれません。ですが、どうか殿下の助けになってください!」

 ライアの助けに……。勿論その為に今日この王宮来たのだ。しかし。

「……本当にわたしが行く事で助けになるのでしょうか…」

「勿論です。殿下のお心はスズラン様にしか動かせません!」

「でも…、わたしはただの平民です。王族や貴族の方々と違って何も持ってません」

「そんな事お気になさらないで! スズラン様なら大丈夫です!!」