「お待たせしました! このドレスならどうかしら!」

 先程これでもかと締められた下着の上にふわりと柔らかな生地が乗せられる。薄紅色が美しいドレスは装飾が控えめなのにも関わらず、きらきらと煌めいていた。

「……きれい」

「うん、お色もぴったり! これに決まりね。じゃあリーナ、あなたは髪をお願い」

 納得したのかそのままテキパキと着付け作業に入るサリベル。リーナはそれっきり口を開かず、スズランの髪を梳かし始める。せっかくなので間を保つ為にも、疑問に思った事を聞いてみる事にした。

「……あの! サリベルさん、違っていたらすみませんっ…もしかしてジュリアンさんって…」

「あら! スズラン様、うちの息子をご存知で?」

 予想通りの答えを聞いてやっと納得した。コルトやサリベル、そしてリーナの明るい緑の瞳とジュリアンのそれは同じ生彩を宿している。

「えっと…、ジュリアンさんにはいつも助けられてばかりで、、本当にお世話になってます!」

 ジュリアンには何度も助けられ、本当に救われた。彼がライアの腹心の部下であり、大切な友人だという事も知っている。スズランが腰を折り礼を述べるとサリベルとリーナは顔を見合わせて目を丸くした。