「この場所が好きなんです。夢の中に出てくる場所と似ていて……」
「……夢?」
「でも、王宮の敷地内という事はわかってます。勝手に入り込んですみません……もうここへは来ませんのでどうか…っ」
もうここへは来れない。そう思うと途端に悲しくなった。泣きそうになるのを誤魔化してスズランはぺこりと頭を下げた。
少しの沈黙の後に警備隊員が口を開いた。
「……眺める程度なら、別に来ても構わない」
「え、でも…」
「厳密に言うと、そこの小川のこちら側からが王宮の敷地だ。小川までならば問題無い……」
初めに感じた威圧感は殆ど感じられず、むしろ優しさが含まれているかの様な声音にスズランも警戒心を薄めた。
「本当に、いいの?」
「たまになら」
「ありがとうございます! ……警備さん、最初は怖い人だと思ったけどいい人なのね!」
素っ気ない態度だが優しさが滲み出ており、スズランは思わず笑顔になった。
「……今日は祝祭の初日だ。君は街に行かなかったのか?」
「あ、お店の準備があって……それにわたし、たぶんこの国の出身じゃないせいか、賑やかなのはあんまり得意じゃなくって」
「店…?」
不思議と会話が進む。
「……夢?」
「でも、王宮の敷地内という事はわかってます。勝手に入り込んですみません……もうここへは来ませんのでどうか…っ」
もうここへは来れない。そう思うと途端に悲しくなった。泣きそうになるのを誤魔化してスズランはぺこりと頭を下げた。
少しの沈黙の後に警備隊員が口を開いた。
「……眺める程度なら、別に来ても構わない」
「え、でも…」
「厳密に言うと、そこの小川のこちら側からが王宮の敷地だ。小川までならば問題無い……」
初めに感じた威圧感は殆ど感じられず、むしろ優しさが含まれているかの様な声音にスズランも警戒心を薄めた。
「本当に、いいの?」
「たまになら」
「ありがとうございます! ……警備さん、最初は怖い人だと思ったけどいい人なのね!」
素っ気ない態度だが優しさが滲み出ており、スズランは思わず笑顔になった。
「……今日は祝祭の初日だ。君は街に行かなかったのか?」
「あ、お店の準備があって……それにわたし、たぶんこの国の出身じゃないせいか、賑やかなのはあんまり得意じゃなくって」
「店…?」
不思議と会話が進む。