彼の明るい緑の瞳と気さくな雰囲気に不思議と既視感を覚える。だからと言って突然現れた見知らぬ人物を信用出来る筈がない。
 どうしていいか分からずにおろおろしている所に助け舟となりうるセィシェルが居間へと入ってきた。

「ぅお?! なっ、誰だよお前! スズから離れろ!!」

「セ、セィシェル! この方は王宮から…」

 すかさずスズランを守る体制に入るセィシェル。今にも標的に飛び掛りそうな番犬の如く相手を睨みつける。

「おや! 本当に若い頃のユージーン殿にそっくりだね、君。でもほんの少し母君の面影もあるからやっぱり殿下とも似ているのかな? 面白いなぁ」

 しかし男は威嚇するセィシェルを前ににこにこと笑顔でよく分からない事を口にしている。

(え? 殿下って…)

「はあ? だから誰なんだよ!」

「君とは一度会ってるんだけど、覚えてないかい? ふふ」

「はああ?? あんたみたいな赤髪野郎知らねぇし!!」

「まあまあ。とにかく急いでるんだ、じゃあ君も協力してくれる? セィシェル君」

「協力?! そんなの誰が…ってか何なんだよ、さっきから俺の事知った風に…」

 何を言っても飄々としている男にセィシェルの苛立ちが高まる。