「あっ…あれは…! その、恥ずかしいからもう忘れて!!」
「駄目。忘れない、一生」
「うう。ライアの意地悪……」
あれは以前、王宮で開かれた晩餐会の日の事だ。それこそ一生忘れられない程の出来事だったのだから───。
─────
───
「───さあ、私と一緒に少々急ぎで参りましょう」
突如、酒場の裏口から入ってきたやたらと背の高い派手な赤髪の男は勝手知ったる様子で居間にやってくると早口で名乗り、矢継ぎ早に要件を述べてからスズランにそう声をかけた。
「えっ! ええっと? まってください! 突然過ぎて、、それに何処へ…」
「あれれ? この店のマスターにはちゃんと伝えている筈なんだけど、伝言ミスでもあったのかなぁ?」
「マスターからは何も…」
男ははて? と疑問符を浮かべながら何やら独り言ちるが、俄然急ぎの要件なのだとスズランに迫る。
「ああ、でも急いで下さい! 間に合わなかったら大変なので!」
「あ、あの。でもわたし勝手に外出する訳には…」
「うーん、困ったなぁ」
王宮からの使いだと言う男は身綺麗で洗練された衣服を纏っており物腰は柔らだ。歳はユージーンと同じ位か、もう少し上だろうか。
「駄目。忘れない、一生」
「うう。ライアの意地悪……」
あれは以前、王宮で開かれた晩餐会の日の事だ。それこそ一生忘れられない程の出来事だったのだから───。
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「───さあ、私と一緒に少々急ぎで参りましょう」
突如、酒場の裏口から入ってきたやたらと背の高い派手な赤髪の男は勝手知ったる様子で居間にやってくると早口で名乗り、矢継ぎ早に要件を述べてからスズランにそう声をかけた。
「えっ! ええっと? まってください! 突然過ぎて、、それに何処へ…」
「あれれ? この店のマスターにはちゃんと伝えている筈なんだけど、伝言ミスでもあったのかなぁ?」
「マスターからは何も…」
男ははて? と疑問符を浮かべながら何やら独り言ちるが、俄然急ぎの要件なのだとスズランに迫る。
「ああ、でも急いで下さい! 間に合わなかったら大変なので!」
「あ、あの。でもわたし勝手に外出する訳には…」
「うーん、困ったなぁ」
王宮からの使いだと言う男は身綺麗で洗練された衣服を纏っており物腰は柔らだ。歳はユージーンと同じ位か、もう少し上だろうか。