熱い吐息を含ませ、何処か焦りの入り交じる口づけ。

「……スズラン…っ…」

 熱っぽく名を呼ばれるが、舌がとろけてしまいそうで上手く応える事が出来ない。息継ぎしながら漸く大好きな名を呼ぶ。

「っふ、ぁ…らい、あ…っ」

 ぬくもりを名残惜しむ様に唇をほんの少しだけ離すライア。そのまま苦しげに囁く。

「っ…スズラン……。本当に、無事で良かった…」

「……ライアこそ、、無事で、よかった……」

 何処か泣き出しそうな声だった。スズランが同じ言葉を返すともう一度強く抱きしめられる。

「っ…スズラン。……お願いだ。このままで聞いて欲しい事がある…。いい?」

「……うん」

 ライアは思いを定めて小さく息を吐くと声を落として、だがしっかりと言葉を紡ぎはじめる。

「───俺。今までスズランに色んな事黙って隠してたんだ。本当に悪かった。許してもらえるとは思ってない。でも、悪気があった訳じゃあないんだ…。これだけは信じて欲しい」

「ま、まって。……なんでライアが謝るの? 謝らないといけないのはわたしの方なのに。わたしが勝手にいろいろ勘違いして…。ライアはその、この国の…、えらい人で、本当はわたしなんかと…っ」