「痛い? よね…。だったら、わたしの知ってるおまじないでライアの痛いの、治せたらいいのに……」

「スズランが知ってる、おまじない?」

「うん…」

 そうだ…。
 幼い頃。怪我など負った時によくこのおまじないをかけてもらった。優しくて、あったかいおまじない。───かけてもらった……誰に?
 ふと、何かを思い出しかけた。明確には分からないそれはスズランの中でふわりと微笑んだ気がした。
 ライアの瞳をのぞき込むと、同じく見つめ返してくれる。時間を忘れて互いに視線を絡めていく。
 痛い思いをしているのなら、一秒でも早く救いたい……。そう心に強く祈りながらライアの唇の端にそっと唇を寄せた。まるで吸い寄せられる様に、自然とそうしていた。
 直後、我に返る。

(っわわ、わたしったらなんて事!! こ、これじゃ自分からライアに…っキ、キスを!! こんなの、恥ずかしすぎるっ)

 すぐ様唇を離して身を引くつもりが、それは出来なかった。

「…んんっ…! …!? っ…」

 ライアの手が、腕が全身の力で離さないと言わんばかりにスズランの身体を引き寄せる。それ以上に一度ふれあった唇同士は離れる事を許されず、深い口づけへと変化してゆく。