「……ばか! ライアの馬鹿! 馬鹿!! わたしが守ってもらってもライアが危ない目にあったら駄目なんだから! ライアが酷い目にあったら……もしライアがいなくなったらわたし…っ」

 これ以上言葉が見つからず、スズランはライアの胸板に握りこぶしをぶつけた。

「…っ…。ごめん、心配掛けて。……でもちょっと嬉しいかも…」

「え?」

 涙が止まらないスズランとは逆にライアは何故か嬉しそうに頬を緩め、直後にまた強く抱きしめられる。息も絶え絶えになるほどの力強い抱擁、耳にはくすぐったいライアの声。

「もう……泣くなって…」

「っわたし……何でもいいからライアの役に、立ちたいの…。何かあなたの、力になりたくて…っ」

 役に立ちたい。やっと本人にそう伝える事が出来た。が、ライアは困惑気味に言葉を続ける。

「っああ、もう。なんで今そんな事言うの? 馬鹿はスズランの方じゃあないか…」

「どうして?」
(やっぱり…、わたしなんかじゃ、ライアの力になれないの?)

 ライアの言葉にますます涙が溢れ出す。しかし続く返答はスズランの予想に反するものだった。

「スズランはもうずっと、俺の力になってるのに…」