スズランもつられて同様の方向へ視線を向けた。
人々で溢れ返ってはいたが、不思議と通りの中央は空いている。途端に先程までの歓声を上回る大歓声が沸き起こり民衆が一体となった。
王宮の正門の方から伝統的な装飾を施した二頭曳の儀装馬車が徐行しながら進んでくる。皆がその馬車を喝采で迎えていた。
「すごい人の波…!」
スズランは民衆から二、三歩下がり、通り過ぎる儀装馬車を見上げた。屋根と帆は取り外してあり、乗っている人物が良く見える仕様になっていた。
前方の席には堂々たる姿で、人々を照らす太陽の如くにこやかな笑顔を見せる人物。
───この国の国王陛下が着席していた。
そのすぐ後ろには今回帰国したと言われている王子と王女の姿。二人とも目を引く美貌と輝かんばかりの笑顔で民衆に応えている。
「わあっ! すごい……祝祭の主役! えっと、イリアーナ様とライン…アーサ様だっけか…」
民衆が声を高らかにイリア王女とアーサ王子の名を連呼し、二人の帰国を喜び称えている。あまりの熱気に気圧され、スズランは早々に店の裏手へと戻った。
「ほんとすごい人! 早く終わらせてやっぱり中のお手伝いしなきゃ」
更に仕事に熱を入れた。
人々で溢れ返ってはいたが、不思議と通りの中央は空いている。途端に先程までの歓声を上回る大歓声が沸き起こり民衆が一体となった。
王宮の正門の方から伝統的な装飾を施した二頭曳の儀装馬車が徐行しながら進んでくる。皆がその馬車を喝采で迎えていた。
「すごい人の波…!」
スズランは民衆から二、三歩下がり、通り過ぎる儀装馬車を見上げた。屋根と帆は取り外してあり、乗っている人物が良く見える仕様になっていた。
前方の席には堂々たる姿で、人々を照らす太陽の如くにこやかな笑顔を見せる人物。
───この国の国王陛下が着席していた。
そのすぐ後ろには今回帰国したと言われている王子と王女の姿。二人とも目を引く美貌と輝かんばかりの笑顔で民衆に応えている。
「わあっ! すごい……祝祭の主役! えっと、イリアーナ様とライン…アーサ様だっけか…」
民衆が声を高らかにイリア王女とアーサ王子の名を連呼し、二人の帰国を喜び称えている。あまりの熱気に気圧され、スズランは早々に店の裏手へと戻った。
「ほんとすごい人! 早く終わらせてやっぱり中のお手伝いしなきゃ」
更に仕事に熱を入れた。