空になった樽や数十種類はある酒の空き瓶を全て種類別に分け、引き取りに来る業者に返却しやすい様並べて置かなくてはならない。地味だが重要かつ力仕事だ。この仕事を怠ると店の裏庭は酒樽と酒瓶で溢れかえってしまう。

「平気! わたしだって皆の役に立ちたいんだもん!」

 二人の負担を少しでも減らしたい。その思いを必死に訴える。

「っぷ…! へんな顔」

「むぅぅ。ひどいっ!」

「むくれるなって、ますますへんな顔になるぜ?」

「もお、セィシェルの意地悪! この顔は元からだもん!! どうせ全然役に立たないって思ってるんでしょ?」

「馬鹿、冗談だって。スズは十分役に立ってる。特に親父の負担はかなり減ってるって」

「ほ、本当?」

「まあな。これでも母さんが生きてた頃は午前から店開けてたんだぜ? 今は夜だけだし、俺も手伝ってるんだし親父だってそんなに無茶はしてねぇよ」

「そうなの?」

「そうなの! じゃあ、今日はここの片付けスズに任せるからな」

「っ…うん! がんばるね!!」

 セィシェルに仕事を任せられた事が嬉しくてスズランは褒められた子どもの様に頬をほころばせた。

「……ったく。あんま無理すんなよ?」