「マスター、スズランの事を叱らないでくれ。俺が彼女を引き止めたんだ、だから俺が悪い。罰なら俺が…」

「っ…や、貴方様に罰など…」

「そんな、ライアは悪くない! マスター、違うの。わたし、ライアに……どうしても会いたくて…。それで誰にも言わないで黙って酒場(バル)を抜け出してライアの所へ行ったの。わたしの考えが甘くて、みんなに迷惑をかけてしまって本当にごめんなさい…!」

 何故か謝罪を述べるライアの言葉を慌てて遮る。全ての元凶は自分だというのに。
 スズランの必死な姿勢にユージーンが重く口を開いた。

「───スズ…。前にスズが心に決めた事ならやってみて欲しいと話した事は覚えているかな? スズが好きな事を見つけたのなら俺は全力で応援するともね。でも、こんな風に心配をかけるのは良い事ではない…。それは分かってるかい?」

「はい…」

「……分かっているなら良いんだ。今、巷を騒がせている誘拐事件の影響で国から未成年の外出禁止令が出ているのも知っている筈。俺はスズに何かあってからでは……本当に、申し訳が立たない…。こうして無事に戻ってきてくれてどれだけ安堵しているか……」

 ユージーンの言葉に胸が痛む。

「っ…」