裏庭の掃き掃除を終えるとスズランは酒樽の上に腰を掛けちらりと森の方に目を向けた。
不思議な事にこれ迄幾度となく足を運んいて、誰かと遭遇した事はただの一度も無い。勝手に敷地に入っている事が王宮の関係者や警備隊の者に知れたらどんな咎を受けるだろうか。森には王宮の警備隊が配属されていると聞いているが実際にその姿を見た事は無い。そうなると王宮の警備体制に疑問を持ってしまう。しかしスズランがそれを杞憂してもどうにもならない。だがおかげで今まで何のお咎めが無いのは確かなのだ。
午後からは更に忙しくなる。〝例の場所〟へ行くなら今しかない。スズランは勢いよく酒樽から降りると王宮の森へと足を向けた。が、背後からの声にびくりと足を止めた。
「おいスズ! どこ行くんだよ?」
「っ…セィシェル! お、おはよう!!」
「おう。で……何してんの? まさかだけど森に入ろうなんて思ってないだろうな」
「っ! い、行かないよ! オリーブの実を採ろうと思って」
先手を打たれ、咄嗟にオリーブの木を指さす。瞳を合わせるとセィシェルは安心した表情を見せたがすぐに瞳を逸らし、ぶっきらぼうに呟いた。
「ふーん、じゃあ手伝ってやるよ」
不思議な事にこれ迄幾度となく足を運んいて、誰かと遭遇した事はただの一度も無い。勝手に敷地に入っている事が王宮の関係者や警備隊の者に知れたらどんな咎を受けるだろうか。森には王宮の警備隊が配属されていると聞いているが実際にその姿を見た事は無い。そうなると王宮の警備体制に疑問を持ってしまう。しかしスズランがそれを杞憂してもどうにもならない。だがおかげで今まで何のお咎めが無いのは確かなのだ。
午後からは更に忙しくなる。〝例の場所〟へ行くなら今しかない。スズランは勢いよく酒樽から降りると王宮の森へと足を向けた。が、背後からの声にびくりと足を止めた。
「おいスズ! どこ行くんだよ?」
「っ…セィシェル! お、おはよう!!」
「おう。で……何してんの? まさかだけど森に入ろうなんて思ってないだろうな」
「っ! い、行かないよ! オリーブの実を採ろうと思って」
先手を打たれ、咄嗟にオリーブの木を指さす。瞳を合わせるとセィシェルは安心した表情を見せたがすぐに瞳を逸らし、ぶっきらぼうに呟いた。
「ふーん、じゃあ手伝ってやるよ」