ライアに言われ、窓の外を確認したが濃い霧が出ており空模様は確認出来なかった。
 あまり良い天気とは思えないが、これから回復するのかもしれない。そう考えながらお茶を口にすると爽やかで甘酸っぱい香りが広がる。飲み終える頃にはすっかりと眠気も飛んだ。

「……あのっ、お茶ご馳走さまでした。甘くて美味しかった」

「あ、ああ」

 空のカップを受け取るべくライアがこちらに手を伸ばす。その時に互いの指先が僅かに触れた。ほんの少し触れただけだと言うのに体温が急上昇する。指先から甘く痺れる様な感覚に思わずカップから手を離してしまった。

「ぁっ…!」

「…っ」

「きゃ…っ!?」

 直後、背中から柔らかいベッドに沈みこんでいた。押し倒されたのだと理解するのに数秒。あまりの唐突な出来事に戸惑うも、優しく名を囁かれ更に驚く。

「なあ、スズラン…」

「なに…?」

 真っ直ぐなライアの瞳を見つめ返す。

「スズランは俺の事……嫌いじゃあ、ないのか?」

(……っ…何でそんなこと聞くの? 何で、そんな目で見るの? いつもみたいにからかってるだけならわたし…)

 もしまたからかわれているのだとしたら。
 そう思うと胸が苦しくなった。