その腕に抱きしめられて……。
 昨晩の出来事を思い出して胸が高鳴り、顔に熱が集中してしまう。対してライアは何事も無かったかの様に冷静な態度だ。

(わ、わたしだけ意識するのもおかしいよね…? でも…っ)

「これ。眠気覚ましに飲んで」

 お茶をカップへと注ぐと唐突に差し出してくるライア。素直に受け取ると、カップからは爽やかな良い香りが立ち上った。
 普通にしようと思うほど意識してしまい、声が上擦る。やっとの事でぎこちなく朝の挨拶を交わす。

「あ、ありがとう……ライア、おはよ……」

「ん? お、おはよう」

 ライアは椅子代わりにベッドへと腰を下ろし、こちらを伺っている。
 淹れたての熱いお茶を少し冷まそうと息を吹きかけた。手元を見られていると思うとものすごく緊張して耐えきれずにライアの顔を見上げた。
 しかし目が合った瞬間顔を逸らされてしまい少し寂しさを覚える。

「…っ」

「お前って……猫舌なの?」

「少し……」

 そこまで熱いのが苦手な訳では無いが緊張でいつもより多く息を吹きかけていた。やはり子供っぽいと思われただろうか。

「ふーん…。あー、今日いい天気だな…!!」

「え! う、うん…?」