「───っ…リリィ!」

「スゥを……スズランをお願いね。この子、あなたに似てとっても泣き虫なんだから…」

「リリィ……っ必ず、生きて…っ」

「大丈夫よ。アス、スズラン。私、あなた達の為なら頑張れるから──・・・」


(あれ…? パパ? ママも一緒にいる。これは、夢? それとも…)


 ──────

 ───


「パパっ! お目目あけて! パパぁ…!! だれか、パパをたすけて……おねがい……パパがしんじゃう…っ」

「────もう平気だよ。君も、君のパパも必ず助けるからね」

「……!!」


(そうだ…! 倒れたパパをマスターが見つけて手当してくれたんだ……よかった。本当に、よかった…)


 ──────

 ───


「……お、おにぃちゃん、だれなの?」

「あ……ああ! 君、迷子だろ?」

「……」

「……俺の名前は、ラインアーサ」

「……らい、あー?」

「違うっ…! ラ イ ア じゃあなくて、ラインアーサ!」


(ラインアーサ…、ライアおにぃちゃん…? ライア……)


 ゆらゆらと色々な夢の合間を通っていく。

 夢? 

 ちがう、これは記憶だ。
 スズランは記憶の欠片を渡り歩いていた。