「な、なんか急に背中に何かが! ライア何か持ってるの? くすぐったい」

「へ? 何かって……その、俺の…」

「ライアの……?」

「…!?」

「??」

 お互いに疑問符で間を埋める。

「なんでもない…っ」

 ライアはゆっくりスズランから身を離すと、距離をとって寝返りを打った。突然に背を向けられ、急に現実に放り出された気分になる。

「どうして、離れちゃうの? わたし何かいけないこと言った?」

「言ってない…。俺の方こそ変な事して悪かった。朝早いんだったな、もう眠ろう」

 冷静な声に先程までの熱は無い。スズランも体の向きを変えてライアの背中を見つめた。

「……ライア…。何か怒ってる?」

「怒ってないよ」

「……じゃあ、こっち向いて…っ」

 情けなくも声が震えた。
 その声に漸くライアが振り向き、ベッドの上で向き合う形になる二人。
 
「わ、スズラン!!」

「ごめんなさいライア…っ」

「お、お前が謝るのはおかしい! 俺が悪いんだ、ごめん! ああ、だからもう!!」

 何故か謝り返すライア。

「ライア、怒ってないの?」

「ん、怒ってない」

「よかった……ライアに嫌われたら、わたし…」