毎回怪我や風邪の症状などに過剰と言っても良い位敏感に反応しては、その場で治療しようとするのだ。
 手近に立つ街灯柱の石段へ座らせられると、ライアは屈んで膝の傷を確認てゆく。その手際の良さにもしや医療に関わる仕事に就いているのだろうか…、と思い当たる。漠然と考ていると擦りむいた膝やその他の擦り傷に熱が集中した。

「ぁ、っん…!」

 ライアの癒しの風が全身に駆け巡り、甘い快感と共に怪我が完治する。

「どうだ? ……もう、痛くないか? たぶん痕は残らないと思うけど。他に痛い所は?」

「へ、平気……いつもありがとう。わたし、なんてお礼を言ったら…っあ!?」

 再びライアに抱き寄せられた。力強い腕の中は暖かくてとても心地が良い。そのままの状態でライアが囁く。

「礼なんかいらない」

「ライア!?」

「会いに……来てくれて、ありがとう。すごく嬉しい……」

 耳の奥にライアの心地よい声が響いた。優しい声色に今までずっと秘めていた想いを言ってしまおうと思い切る。

「ライアっ! ……わたし、わたしね」

「…?」

「や、やっぱり、なんでもない…」

 しかれども先程までライアが恋人と居た事を思い出して言い留まった。