「ハリさんの言う通り、わたしは確かにまだまだ未熟者です。そんな事自分が一番よくわかってます。でもライアの優しさが本物かどうか位、わかります…。なのに、その優しさを無下にしてしまった事。今更後悔しても遅いけど、わたしはまだ本当の気持ちをライアに伝えてないから…っ」

 ハリの言葉を遮り、思いの丈を並べるも次第に自信がなくってゆく。案の定反論も出来ない程正論で言いくるめられる。

「だから何だと言うのです。それを伝えて何か変わるとでも? それとも貴女はライアに有益な何かを齎す事が出来るのですか?」

「っ…」

 スズランが正直に気持ちを伝えた所で何も変わる事はない。それはただの我儘で身勝手な行為だ。しかしこのままでは想い焦がれて苦しいのだ。許されたい訳では無い。ただ非礼を詫びて、素直に気持ちをぶつける。それ自体は悪い事ではない筈だから。

「……はあ…。分かりました。理解に苦しみますが、そう仰るなら居場所をお教えしますので想いとやらを伝えてみては?」

「っ!? 」

「今は恐らく旧市街にあるAnochecer(夕暮れ) tierra natal(の故郷)という酒場(バル)に居るかと。しかしあの辺はかなり物騒です。貴女が一人でたどり着ける様な所では…」