(っ誰…? もしかして、警備さん?)
瞬時に例の警備員の事が頭に過ぎった。だが少々様子が違う。
まるで仄暗い闇から浮き出てくる様に裏庭へ姿を見せたのは全身墨色の衣服を纏ったやや小柄な人物だった。マントは身につけておらず、手には小さなカンテラを持っている。
その姿を捉えた瞬間、突然空気が重くなった様に感じ息苦しさと圧迫感に苛まれる。足は地面に張り付いてしまったかの如く身動きすら取れない。
(なんだろう。何だか苦しいし…、それに…)
しかしこちらの状況とは裏腹に、容易に目前までやってきた人物は僅かに会釈をすると軽やかだが抑揚のない声で挨拶をした。
「……こんばんは」
期待している訳ではないが、万が一を見込んでスズランも挨拶を返す。
「こ、こんばんは…。あの、もしかして警備さん、ですか?」
「警備? いえ、私は王宮に仕える者ですが警備員ではありません。それよりも二つほどお訊きしたい事があるのですが……」
「あ、はい…! わたしで、わかる事なら…」
雰囲気がまるで違うので察しはついたが、やはり目の前の人物は例の警備員では無い様だ。更にカンテラの弱々しい灯りの所為か相手の表情が読めず警戒心が強まる。
瞬時に例の警備員の事が頭に過ぎった。だが少々様子が違う。
まるで仄暗い闇から浮き出てくる様に裏庭へ姿を見せたのは全身墨色の衣服を纏ったやや小柄な人物だった。マントは身につけておらず、手には小さなカンテラを持っている。
その姿を捉えた瞬間、突然空気が重くなった様に感じ息苦しさと圧迫感に苛まれる。足は地面に張り付いてしまったかの如く身動きすら取れない。
(なんだろう。何だか苦しいし…、それに…)
しかしこちらの状況とは裏腹に、容易に目前までやってきた人物は僅かに会釈をすると軽やかだが抑揚のない声で挨拶をした。
「……こんばんは」
期待している訳ではないが、万が一を見込んでスズランも挨拶を返す。
「こ、こんばんは…。あの、もしかして警備さん、ですか?」
「警備? いえ、私は王宮に仕える者ですが警備員ではありません。それよりも二つほどお訊きしたい事があるのですが……」
「あ、はい…! わたしで、わかる事なら…」
雰囲気がまるで違うので察しはついたが、やはり目の前の人物は例の警備員では無い様だ。更にカンテラの弱々しい灯りの所為か相手の表情が読めず警戒心が強まる。