一様にテーブルを囲み酒を飲みながら夫々の思いを打ち明けている。
 あまり明るい話題ではないが男たちは意外にも悠長だ。それもそのはず、立て続けに起こった誘拐事件の被害者は皆〝未成年の少女〟らしいのだ。

 もちろんスズランも未成年だが表に出る頻度は少なく、元々過保護にされていた事もあり今のところ生活に支障はない。
 それよりも、先日起きた出来事でスズランの頭の中は占められていた。

「はあ…」

「よぅ! 今日も別嬪さんだねぇ、スズちゃん! しっかし例の誘拐事件、怖いだろう? おじさんが守ってあげようか~?」

 かの出来事を思い返して物憂げな溜息を吐いていた所、常連客に声をかけられる。

「……あ、こんばんは! えっと、平気です!」

「ありゃりゃ、そうなの? まあ、でもついに未成年の女の娘たちに外出禁止令が出るくらいだもんなぁ…」

 どうやら事態を重く見た国王が被害者になり得る未成年者自体の外出を禁じたらしいのだ。
 事件は恐ろしいが今ひとつ考えが及ばないスズラン。

「そうなんですね…。でもわたしにはあんまり関係ないと…」

「そんな事ないよ〜、何ならおさじさんがスズちゃんの事を攫っちゃうぞ! なぁーんて…」