目の前で優しく微笑むユージーンに思わず抱きついて涙に声を詰まらせる。

「ああ、ほら。そんなに泣いたら可愛い目が腫れてしまうよ。泣き虫スズの涙はどうしたら止まるのかなぁ？　でも本当に、自分の心に素直になるのが大事だからね。何があっても俺はスズの味方だ。これだけは覚えておいて欲しいよ───」

　スズランは頷きながら上手く言葉にならない気持ちを、心の中で何度も唱えた。
　ひとしきり涙を流したスズランは、宥められながらもユージーンが持ってきた食事をすっかりと完食してひと心地ついた。

「ごちそうさまでした…」

「はは、食欲は出てきたみたいで安心したよ」

「だってマスターが作るお料理はとってもおいしいもん」

　柔らかく煮込んである根菜のスープと食べやすく一口大にしてあるパンが四日ぶりにスズランの胃を満たす。ユージーンの気遣いが身体の隅々に染み渡る様だ。

「それはよかった。ちゃんと食べて、ちゃんと睡眠を取るんだよ？」

「うん。……マスター、わたしがんばるね！　だからまたお店のお仕事お手伝いさせて！」

「……分かった。でも俺が今言ったことをちゃんと忘れずに出来たらね。また無理をするようならその時は…」