「くそ…っ…お前を守るのは俺だ! あんな奴に…」

 悔しそうに俯きながら呻く様に言葉をもらすセィシェル。やはり以前何があったのかは答えてくれない。それでも今もなおセィシェルがスズランを見守ってくれている事には感謝しかない。
 だからこそその分、ライアにもちゃんと感謝の気持ちを伝えたかった。

「セィシェル、ずっと守ってくれてありがとう! でもわたし、ちゃんとライアにもお礼を言いたい! ……それだけなの」

 何とか気持ちを隠し通せた。そう思った矢先セィシェルに念を押される。

「分かった…。だったらスズは俺の気持ちに応えてくれるのか? あいつの事は本当に何とも思ってねえって事だよな?」

 その問に返す言葉が出てこなかった。
 セィシェルの気持ちに応えたくない訳では無いが、自覚してしまった自分の想いだって無視は出来ない……。
 静まり返った部屋。スズランは気持ちを決めて口を開いた。

「わ、わたしは…」

「いや、今はまだ答えなくていい。俺にだって譲れない物位あるんだ」

「ゆずれないもの?」

「……親父呼んでくる。親父が一番付きっきりで看病してたんだからな! あとソニャの奴も。だからちゃんと体調治せよ」